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真の課題解決にコミットし、共創をリードする。世界最高のプロダクトチームを目指す、大久保さんの挑戦

「LIFULL HOME'S」は、日本初の不動産・住宅情報サイトであり、立ち上げから25年経った現在も日本最大級で運営をしています。今回はそんな「LIFULL HOME'S」のプロダクトマネジメントを統括する大久保さんに、これまでのキャリアやLIFULLのプロダクト開発の変遷、今後の展望について話を聞きました。

大久保 慎 Okubo Shin
LIFULL HOME’S事業本部 プロダクトプランニング部 部長
編集者、エンジニア、コンサルを経て、2006年にLIFULL入社。
不動産領域における新規事業立ち上げや既存事業グロースを複数経験後、国際事業立ち上げと海外M&Aに携わり、スペインにある世界最大級の不動産アグリゲーションサイトTrovit Search S.L.(現LIFULL Connect)へ出向。
帰国後、スタートアップに転職しサービスのグロースを担当したのち、LIFULL HOME’Sに復帰、複数サービス責任者を経て現職。プライベートではトレイルランニングとテント泊登山とビールを愛し、社内ではサークル「山メシ研究会」を運営。

情報を通じて、人の価値観を変えたい。

――LIFULLに入社するまでのキャリアを教えてください。

新卒では外資系の出版社に入社し、編集職からキャリアをスタートさせました。外資系という事もあって出版のWeb化が急速に進む様を目の当たりにし、Webの可能性を強く実感できる環境でした。また、恥ずかしながらそれまではビジネスというものに対する興味がほとんどなかったのですが、海外MBAスクールへの短期留学の経験を通じて、マーケティングやマネジメントの面白さ、ビジネスの持つクリエイティブな側面に目覚めました。そこで、30歳までに、「IT」と「マネジメント」の2つの力をつけようと思い、ゼロからエンジニアの世界に飛び込んで開発の世界を経験したのち、コンサルティング企業に転職して、事業や知的財産のコンサルやリサーチ業務に従事しました。

LIFULLとの出会いは、創業代表の井上さんのインタビュー記事でしたが、語られている内容に衝撃を受け、絶対この会社に行こうと思ったことを覚えています。というのも、私が仕事・プライベート問わずやっていて燃えること・好きなことは「情報によって人を感動させたり、価値観や世界観を変えること」で、出版に携わったのもそれが出来ると考えたからでした。

今度はネットを介して、より多くの方の価値観・世界観をよりよい方向に導いていきたい。そう考えた時に、不動産という生活者にとって非常に重要な領域において、インターネットを通じて人々の安心と喜びを生み出そうとしているLIFULLは、ビジョンも事業内容も心から共感できる会社だと思いました。

――学生時代からの変わらない想いを実現するために、職種や職場は戦略的に変えてきたのですね。LIFULL入社後はどのようなことを担当しましたか?

入社後は、不動産オークション事業、不動産売却査定サービス、引越し見積もりサービスなど、新規事業領域を中心に担当したのち、新たに立ち上がった国際事業の新規事業準備室に自ら志願して異動し、アジア方面での不動産ポータルサイトの立ち上げに携わりました。初めて経験する海外事業立上げは、国内でのWebビジネスとは桁違いの出来事が頻発する状況で、ビジネスの資本関係や法規制など様々な壁が降りかかってきます。毎日のように自分の想像を超えた課題にぶつかっては、全身全霊で解決に動く毎日でした。今思うと、筋力が鍛えられる貴重な経験でしたね。

その後、Trovitという海外企業を買収する話が上がり、M&Aのプロセスに関わったのち、スペインのバルセロナに2年出向しました。

M&Aに伴う出向のイメージは普通湧きづらいと思います。急に自分たちの会社が異国の企業に買われ、そこから来た人間がマネジメントをする。現地の方からすると、複雑な気持ちになるのは当然です。はじめは反発に直面する難しい環境下ではありましたが、半年ほどかけて分析や提案を粘り強く丁寧に続けていった結果、メンバーからも信頼してもらえるようになり、プロジェクトリーダーを経験後、ミッションを全うし帰国をしました。

Trovitでの業務経験は、非常に刺激的でした。同じネット企業なのに、組織文化、ビジネスプロセス、成果創出のための考え方、すべてが違いました。10年近くLIFULLのアプローチに慣れていた自分にとって、大きな財産となる経験でした。

スタートアップでの経験と復帰後の挑戦

――帰国後はどうしたのでしょうか?

帰国後は、LIFULLを離れ、別業界のスタートアップに転職をしました。ここでの経験も非常に濃密で、成果を生み出す取り組みを高速に模索し、兆しが見えたら型化し、スケールしたりピボットするダイナミックなサイクルを体感する事ができました。

諸事情により、1年後にLIFULLに復帰します。社内では「史上最速の出戻り野郎」なんて言われています(笑)。出戻りの一番の理由は、一度離れたことで、不動産領域の意義を考え直したことです。不動産は人生で最大の買い物であり、人の人生を左右しうる生活の基盤と言えるものです。それを最適な選択ができるように導くLIFULL HOME’Sというサービスは有意義であり、自分の人生をかけて取り組む価値がある事業だと感じました。全くの別業界に身を投じた事により、転職前よりも、不動産領域に携われる事の魅力を、自分の中でしっくりくる言葉で言語化できました。

また、LIFULLのカルチャーの魅力も再認識できましたLIFULLは経営理念と事業内容に一貫性があり、社員にも考えが浸透しています。そういった同じ志を持ったメンバーと共に、心から意義を感じる事業に取り組める環境の尊さに気づくことができました。

――外に出て気づく、業界やカルチャーの魅力があったんですね。出戻り後はどのような役割を担っていますか?

LIFULL復帰後は、SEO系のプロジェクトを推進して月間1000本以上のコンテンツを作ったり、低迷していた不動産投資サイトを短期間で成長軌道に乗せたりといったグロース系のプロジェクトマネージャーを経験しました。現在はプロダクトプランニング部の部長として、LIFULL HOME'Sのユーザー向け・クライアント(不動産会社)向けの全プロダクトのプロダクトマネジメントを統括する役割を担っています。

プロダクトマネジメントの導入

――プロダクトマネジメントを導入したのは、大久保さんがLIFULLに戻ってきてからですよね。どのように考え、プロダクト開発のプロセスを変えていったのでしょうか。

LIFULL HOME'Sのプロダクト開発に携わるのは約10年ぶりでしたが、開発のスタイルは大きくは変わっていませんでした。

部分的にアジャイル開発も導入しているものの、会社全体としては、大がかりな機能をプランニングして大規模に開発を始めるウォーターフォール寄りの開発スタイルで、UXリサーチの活用も限定的でした。結果、チームが開発する機能やプロダクトが市場やユーザーに受け入れられるかは、ギャンブル的な要素がかなり強い状態でした。また、売上・利益にヒットしづらい顧客要望への対応や、技術的負債の解消のための施策への優先順位付けがしづらい状況でした。

そこで、事業責任者とは別にプロダクト自体に責任を持つ役割としてプロダクトマネージャーを置くことで、先に述べたような課題の解決を図ろうと考えました。しかしながら、国内・海外の事例や知見を参考に検討を進める中で「単一プレイヤーの能力やマインドに依存する形での課題解決は持続しないのでは」と考え直し、単に役割としてのプロダクトマネージャーを創設するのではなく、プロダクトマネジメントの文化を組織全体にインストールすることをCTOやCCOらとともに意思決定しました。

――プロダクトマネジメントを導入するにあたり、参考にしたことはありますか?

ありたい状態に対する全員の認識をそろえるために、LIFULLの課題感に最もフィットしていると思われる『INSPIRED』という書籍を教科書として定め、その書籍に書いてあることを愚直に実行しました。

例えば、プロダクトマネージャーとエンジニアとデザイナーが「三位一体」になること。流れ作業的に後工程にバトンパスするのではなく、全機能がプロジェクトの上流から関わること。
次に、三位一体の体制においても、プロダクトの4つの価値(コントロールするリスク)を職種ごとに緩やかに担当する開発体制をすること。
アウトプット志向からアウトカム志向の思想をもってプロジェクトを推進していくこと。

こういった方針を定めるだけでなく、プロセスが文化として定着しているかどうかを月次・週次で振り返りながら、少しずつ浸透させていきました。この辺りの話は別のnoteにもまとめているので、是非ご覧ください。

うまくいったのは、プロダクト開発に関わる3職種(エンジニア、デザイナー、サービス企画)のマネジメント陣が共通の課題意識をもってスタートできたからだと考えています。共通の課題意識を持ち、決めたことを全員が本気で取り組む。一度決めたら動きが速いところは、LIFULLの強みだと思います。

個人のスキルを最大限に発揮できるキャリアパスの提案

――先日(2022年10月)、「UXリサーチャー」「プロダクトグローススペシャリスト」という2つのスペシャリストコース(*)を新設しましたよね。これらも、プロダクトマネジメント導入の流れを受けているのでしょうか。

スペシャリストコース(*)
自身の高い専門性を活かすことで会社に貢献するキャリアコース。LIFULLでは、一定の等級まで昇格すると、マネジメントコース(管理職としてチームメンバーやその仕事をマネジメントするキャリアコース)とスペシャリストコースの2つのコースに分かれている。

はい、そうです。プロダクトマネジメントにおいて、UXリサーチは非常に重要なプロセスです。LIFULLにおいてもプロダクト開発における重要プロセスのひとつとして位置づけ、ここ数年で強化しており、社外での講演等で登壇するような知見のある人材も増えてきました。そういった方々に対して、一般的なキャリアパスとして管理職に引き上げピープルマネジメントを任せるのではなく、スペシャリストとして個人の成果を出していただいた方が、UXリサーチャーたちのバリューが引き出せるのではないかと考えました。

UXリサーチの事業視点でのバリューとは、プロダクト開発の成功確率を上げることだと考えています。「1:10:100の法則」でも謳われている通り、開発初期にUXリサーチのプロセスを踏むことで、プロダクトがユーザーに対する価値提供を成功させる確率を高めつつ、手戻りコストを下げられると考えており、この点は我々にとって非常に重要なポイントです。LinkedinやGoogleが1000人を超えるUXリサーチャーを抱えているのも、その重要度を実感しているからです。LIFULLでも優秀なUXリサーチャーを育成・採用し、活躍いただきたいと思い、環境づくりとしてコースを新設しました。

「プロダクトグローススペシャリスト」の新設もキャリアパスの観点では同様の意図です。現在、海外ではGrowth Product Manager(Growth PM)といって、一般的なプロダクトマネージャーと違い、特定のプロダクトに責任をもつのではなく、特定のビジネス指標や商業目標を改善することに重点を置いた職種を置く動きが広がっています。私たちLIFULLでは、この職種を「プロダクトグローススペシャリスト」として定義しています。

コース新設に当たっては、LIFULLの社員には社外でも活躍できる市場価値の高いスキルを身に着けてほしいという想いも込めています。

世界最高のプロダクトチームをつくる。

――LIFULLで活躍するプロダクトマネジメント人材は、どのような人物でしょうか。

2022年に定めた私たちのあるべき像である「真の課題解決にコミットし、共創をリードする」を体現できる人です。

もう少し噛み砕くと、「本質的な課題解決のためにあるべき姿自体をも問い続け(真の課題解決)、責任を持って深く関与し(コミット)、プロダクトチーム全体での価値提供(共創)を自らが推進する(リードする)」。これは、私たちのあるべき姿として言語化し掲げているものです。

そんな人物像を体現してもらうために実践してほしいこととして、①より良い未来を探求し続けること、②思考/行動を革進させること、③超爆速で動くこと、④価値提供・アウトカム創出に誰よりも執念を持つこと、の3点が大事だと考え、明文化しています。

あるべき像の明文化についてはこちらの記事も参考にしてください。

――LIFULLでプロダクトマネージャーとしてキャリアを積む醍醐味は何だと思いますか?

LIFULLは「あらゆるLIFEを、FULLに」を掲げている会社です。人の人生をよりよくするための、重要な選択に直接携われることが大きなやりがいではないでしょうか。基幹事業のLIFULL HOME’Sの関わる不動産は、人生最大のお買い物です。サーフィン好きであれば海のそばに住む、支援の必要な家族がいればその方のそばに住む、といったライフスタイルにも大きく関わる選択です。このような大切な選択を誤らないように、その人がより幸せになれるようにサポートできる事に、強い意義を感じられます。

また、不動産業界は非常に大きな業界です。案件のスケールやインパクトの大きさから、開発体制や最新ツール導入などにも積極的にチャレンジできます。さらに、LIFULL CONNECTなど海外子会社もあるので、グローバルな知見から学ぶことも可能です。このように、領域の最先端で活躍したい方にはおすすめの環境です。

加えて、これはどの職種でも言えることですが、LIFULLは経営理念の一部にも明記している通り「革進」を重視しています。グループで1500人を超えるエンタープライズ企業ではありますが、スタートアップ気質が根付いており、革進に積極的である点も特徴だと思います。

――今後、どのようなプロダクトチームをつくっていきたいですか?

グローバルを含めた最先端の事例を収集しながら試行錯誤を繰り返し、LIFULLらしい方法を取捨選択しながら、「世界最高のプロダクトチーム」をつくることが私たちのビジョンです。LIFULLのみんなが挑戦したいと思ってることすべてを実現できるようなチームをつくり上げていきたいです。

――最後に、就活・転職活動中のプロダクトマネージャーの方々や、LIFULLに興味を持っている方にメッセージをお願いします。

LIFULLでは様々な職種や組織が一丸となって、プロダクトマネジメントの浸透と、そこからのアウトカム創出に取り組んでいます。
まだまだ道半ばと考えており、グローバルのベストプラクティスに照らせば伸びしろも大きい状態です。現状に安住せず、さらなる高みを求めて共に学び合い、挑戦できる環境です。

そのようなチャレンジできる環境を求め、「あらゆるLIFEを、FULLに。」に共感いただける方。私たちと一緒に、プロダクトマネジメントを通じて世の中をよりよくしていきませんか。

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