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外国籍社員が住宅弱者をなくすためのSDGs事業を立ち上げた話

FRIENDLY DOORとは

FRIENDLY DOORとは、外国籍、生活保護利用者、LGBTQ、高齢者、シングルマザー・ファザー、被災された方々などひとりひとりの多様なバックグラウンドを理解し、親身になって住まいを探してくれる不動産会社を検索することができるサービスです。
全国で約2600店舗の不動産会社がFRIENDLY DOORの取り組みに参画しています。※2021年2月末時点

FRIENDLY DOORの立ち上げへの想い

LIFULL HOME'S FRIENDLY DOOR事業責任者の龔(キョウ) です。

「国籍や人種、性別や年齢、背負うハンディキャップにかかわらず、誰もが自分らしく、自由に住まいを選択できる社会にしたい」
FRIENDLY DOORへ込めた想いには、自分自身の原体験があります。

上海で生まれて日本で育った私ですが、住まいを探す際は”外国籍”というハードルでなかなか物件が見つからないことがあります。日本で育ち日本語がネイティブであっても、LIFULLという東証一部上場の企業に勤めていても、物件審査の際に ”中国人は入居できない”、”日本人の保証人がいないとNG”という理由で物件審査に落ちたことが何度かありました。
もちろん自分の家族、留学生として来日した従姉妹も同じ苦い経験をしています。

”国籍の違いで、なぜ物件に住めないのだろうか。日本の文化・慣習も十分に理解しているのに、なぜ国籍というものでフィルタリングされ、私個人を見てくれないのだろうか。”

入居したい物件を断られた時は、自分には限られた選択肢しかないことにとても悲しい気持ちになりました。

「物件の選択肢が限られている人たちは、外国籍の人たちだけではない」

2016年からLIFULLの社会貢献活動委員として活動を始め、生活保護利用者の住まい支援を行う認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの取り組みをサポートするようになったことで、生活困窮者の住まい探しの大変さも実感するようになりました。

経済力がないことで家賃滞納や近隣トラブルを懸念され、入居を拒まれるケースが多くあること。
それは、外国籍の方々が懸念される問題と全く同じではないですが、入居リスクがあると捉えられて同じように断られている現状があることを知りました。

不動産管理会社やオーナーの理解を得ることは、外国籍も生活保護利用者も問題の根本は同じ。
そこを解決していくことが住まいの選択肢を広げることにつながる、と確信しました。

様々なハンデを抱えた人たちに理解のある不動産会社やオーナーを集めて、必要としている人と繋げていこう。

そう思い、FRIENDLY DOORのカタチをつくりました。

不動産会社を探す

※上記カテゴリは、2021年3月時点になります

最近、FRIENDLY DOORで取り組んでいること

主に3つあります。

1. FRIENDLY DOORを必要な人たちに届ける

FRIENDLY DOORをリリースして約1年、参画してくださる不動産会社は全国で約2,600店舗になり、大変ありがたいことにまだまだ増加しています。

しかし、まだFRIENDLY DOORを利用してくれるユーザーが少ない状態にあり、FRIENDLY DOORを必要としている人たちにリーチさせていく必要があります。

そのため、最近は生活困窮者や外国籍、LGBTQ、高齢者、ひとり親、被災者の方々を支援されている非営利団体や行政の方々にFRIENDLY DOORの取り組みを知ってもらうべく、サービスの案内を強化し、利用アンケートを実施しています。

各団体へご案内する中で、”こういった取り組みは必要なのでもっと広めて欲しい”、”安心して住居を探すためのツールだと思う”といったリアルな声をいただいて、FRIENDLY DOORの必要性を改めて認識することができました。

2. FRIENDLY DOORに参画している不動産会社の対応力を向上させる

”FRIENDLY DOORを使ったけど、結局不動産会社に断られた” という経験を絶対させない。

そのためには、参画してくれている不動産会社が理解して親身に対応してくれることがとても重要になります。

現状、参画意思を持って理解を示している不動産会社は多いですが、必ずしも全ての不動産会社がユーザーひとりひとりのハンデに寄り添って適切な対応ができているわけではありません。

その為、対応ノウハウを学ぶことが重要であると考え、昨年6月頃から不動産会社やオーナー向けのセミナーを実施しています。

FRIENDLY DOORセミナー シリーズⅠ
生活保護利用者の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ【基礎編】


生活保護利用者の住まい探し・対応ノウハウからスタートし、LGBTQ、高齢者、シングルマザーなど、各カテゴリごとにセミナーを実施してきました。

次回の第5回目FRIENDLY DOORセミナーは、外国籍の住まい探しをテーマにセミナーを行います。

FRIENDLY DOORセミナー シリーズV
外国籍の住まい探し・対応ノウハウを学ぶ

また、今後の展開としては、対応ノウハウを学ぶセミナーの実施だけではなく、個社別に実践をメインとした研修コンテンツも提供しようと現在準備中です。

3. 住宅弱者の問題を広く社会に認知させること

FRIENDLY DOORの啓蒙活動として、2020年9月に渋谷周辺エリアで「住宅弱者」問題を問いかける屋外広告を掲載しました。

屋外広告2

屋外広告1

人間は誰もが高齢になります。
その時に、賃貸という住まいの選択肢を取ることができない現実がこの社会にはあります。

誰もが直面するかもしれない問題について、直面したときに初めて知るのでは遅いことをより多くの人たちに知ってほしくて、住宅弱者度CHECK LISTを作成しました。

住宅弱者の問題は、誰かの問題ではなく、自分事である。

その意識変革が、住宅弱者をなくしていくことにつながると私は考えて、この問題を継続的に世の中に問いかけていきたいと啓蒙活動も精力的に取り組んでいます。

住宅弱者チェックリスト

不動産会社やユーザーなどから集まっている声

Twitterからユーザーの声をいくつかピックアップしました。

FRIENDLY DOORサイト上では、ユーザーの声を直接聞くことはできないのですが、実際にサイトを使って、理解ある不動産会社と繋がれたという声をSNSを通じて聞くことができることが一番嬉しい瞬間です。

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「町の不動産屋さんでは、生活保護受給者の場合、借りられる物件が無く、法人を応援して下さっている方に教えていただいた情報サイト「FRIENDLY DOOR」 に掲載されている不動産屋さんに行ってきました。事情を理解して下さり、丁寧に物件を探して下さいました。」(非営利団体の方)

「LIFULL HOME'Sさんの『FRIENDLY DOOR』は、シングルマザーやファザー、生活保護者さん、LGBTQや高齢者、外国人の方などに、不動産会社を紹介しているサービスです。「お部屋探している、でも…」という人は、まずはここを利用すると良いですね」(一般の方)

「自営業・単身者も住宅弱者の要素があって、今の家は運良く住めているけれど、家探しの時に別物件で相談中に大家から「預金通帳の額を見せろ」と言われた事もあった…住む所を失くす、住む所を得られない恐怖があるからFRIENDLY DOORの存在って頼もしい。」(一般の方)

「LGBTだからって「LGBTフレンドリー」サービスに囲い込まれたくねえなと思うので、今回のPRのお話には正直最初やや警戒しましたが、「こういうサービスがなくなるのがゴール」というLIFULLさんの中の人の一言を聞いて「よっしゃやったるで」となりました。なくなりますように(応援)」(一般の方)

「LIFULL HOME'S FRIENDLY DOOR」新型コロナウイルス感染拡大に伴い、住まいに関する支援を行う不動産会社の情報を提供する特設ページ開設しています。

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FRIENDLY DOORセミナーに参加していただいた不動産会社やオーナーの方がからの声をアンケート結果からいくつかピックアップしてみました。

「現在、広島にて賃貸物件を買い進めています。ある程度の資産規模にしてから、シングルマザーを支援できる物件を作って社会のお役に立てるようにしたいと思っています。」(オーナー)

「高齢者の入居に当たり、一番の不安要素は孤独死でしたが、数々の具体例を知ることができたので不安が減りました。また、メリットも多かったので、対策をして高齢者入居に備えたいと思います。」(不動産会社)

「高齢者入居に消極的な家主に、説得(理解を得ていく)していく方法を知りたい」(不動産会社)

「LGBTQの問題について、大家さんは「素性がよくわらかない人に貸したくない」という一貫した感情があると思いました。公的に証明できるものがあると、どれだけ受け入れ割合が増えるのか知りたい。」(不動産会社)

「生活保護受給者の賃貸事情については、行政を動かしながら対応が必要である旨の再確認になりました。」(不動産会社)

「生活保護者への物件斡旋を行おうとした場合、具体的にどの様な事からスタートすれば良いか知りたかった。例えば、役所のケースワーカーにどのように連絡を取れば良いのかを知りたい。」(不動産会社)

このように、まだまだLGBTQや生活保護利用、高齢者などの方々の入居リスクをどのように軽減すれば良いのかを知りたいニーズが多くあります。

FRIENDLY DOORとしては、先進的に取り組んでいる事例や研修コンテンツの提供などを通じて、理解ある不動産会社やオーナーの不安やリスクを軽減できるよう、今後事業展開を広げていく予定です。

挑戦できるLIFULLという場

LIFULLに新卒で入社して、今年の4月で11年になります。
これまでの11年間で、私はたくさんのことをチャレンジさせてもらったと思っています。

・新卒で初めて営業職からサービス企画職への転身
・国際事業部での海外進出の経験
・社内での社会貢献活動の立ち上げ
・新規事業提案制度SWITCHでの事業立ち上げ、LIFULL HOME'SのSDGs事業へのシフト etc.

チャレンジのたびに、自分の上司や同じ志を持つ仲間に背中を押されて、ここまで走ってくることができたようと思います。

現在、私はLIFULLでの社会課題解決だけでなく、兼業でNPOも経営してソーシャルアクションを起こしています。

認定NPO法人Living in Peace 代表理事
途上国でのマイクロファイナンス事業の支援や国内の社会的養護の子どもたち支援、日本に逃れてきた難民の方々への自立支援を行う。

NPOでのパラレルキャリアについても、代表取締役社長の井上をはじめ周囲の人たちが理解をしてくれ、そして応援してくれていることも本当にありがたいと感じています。

私がもっとも私らしく在れる場所、そして挑戦できる場所、それがLIFULLです。

「あらゆるLIFEを、FULLに」

自分のビジョンとLIFULLのビジョンを重ね合わせながら、実現に向けてこれからも頑張っていきます!


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